問題
花子さんは私の妹においしいおやつを 。
(A)あげた (B)もらった (C)くれた (D)やった
解説と解答 答え(C)
【その1】
「あげる。もらう。くれる」を授受動詞といい学習者にとって理解しにくい動詞です。そのなかで「くれる」が最も分かりにくいと言われています。
まず大事なことは「くれる」は「わたし+に」か「私の弟+に」など「わたしグループ+に」にしか使わないことを説明します。わたしグループとはわたしの領域に属する人、家族、会社の人などです。従って「叔父さんは自分(叔父さん)の子供に小遣いをくれた」は変ですし「叔父さんは私に小遣いをやった」も変です。使い分けの規則に反すると変な日本語になります。
例文
①20歳の誕生日に、父はわたしにスーツをくれました。
②この写真は、帰国するとき、友だちがくれたものです。
③卒業のとき、山田先生は息子に本をくださいました。
④会長がくださった万年筆を今でも大切に持っております。
②の文は「私に」が省略されています。③は私グループの「息子に」を使っています。④の文は「私に」が省略されています。「くださる」は行為者が目上の場合に使います。
-----------------------------------------------------------------
【その2】
「わたし」や「わたしグループ」に他人がした行為を「うれしい」や、「ありがたい」と感じたときに使います。「ありがたくない」と感じたときは受け身形で表します。
・張さんが窓を閉めました。(話す人の感情を含まず、事実だけを言っている文)
・張さんが窓を閉めてくれました。(ありがたいと感じたときの文)
・あそこの店は新鮮な魚を食わせてくれる。
・音楽は私たちを楽しませてくれる。
・張さんに窓を閉められた。(ありがたくないと感じたとき)
-------------------------------------------------
【その3】
「くれる」を使わないと、他人の行為の方向が分からなくなります。
①「鈴木さんが自転車を修理した」(誰の自転車なのか分からない)
②「鈴木さんが自転車を修理してくれた」(私の自転車であることが分かる)
③「張さんが写真を見せました」(だれに見せたか分らない)
④「張さんが写真を見せてくれました」(私に見せたことがわかる)
⑤「自転車がパンクして困っていたら、知らない人が手伝ってくれた」②と同じ。
-----------------------------------------------------
【その4】
話し手のための行為なのに「くれる」を使わないと、おかしな文になります。
学習者はよく下記のような間違いをします。
・「誰もそのことを私に教えなかった」×
・「誰もそのことを私に教えてくれなっかた」○
・「おいしいミカンを送り、ありがとう」×
・「おいしいミカンを送ってくれて、ありがとう」○
【その5】
依頼する言い方。友人、同等または目下への軽い要求、依頼の表現として使います。
①この本、そこの棚に入れてくれる。
②ちょっとこの荷物運んでくれる。
③すみませんけど、ちょっと静かにしてくれないか。
④灰皿、とってくれる?/とってくれない?
---------------------------------------------------
【その6】
他人の行為が話し手から見て迷惑や不満を感じたときに使います。
・「大事な書類を忘れるなんて、まったく困ったことをしてくれる」
----------------------------------------------------
下記の例文にある「くれる」の意味はもう理解できると思います。
・あの人はお金持ちだから、きっと寄付してくれるよ。
寄付してくれたら(ありがたいと思う)+(私たちグループ)に寄付してくれる事が わかる。
例文
・A:あら、その案内書、どこでもらったのですか。
B:受付に行けば、くれますよ。
・あの人は会うたびにおもしろい話を聞かせてくれる。
・休暇で家に帰ると、祖母は「よく帰ってきたね。」と言って迎えてくれる。
・花子vさんは親切で、わたしが困っているといつも助けてくれます。
・張さんは会議の時間が変わったことを、知らせてくれなかった。
・中川さんはわたしの壊れたパソコンを直してくれました。
・今日わたしは学校を休んだ。午後、リーさんがお見舞いに来てくれた。
・先生はわたしの話をよく聞いてくださいました。
・いつもは頼りない5歳の子どもが、病気のわたしを一生懸命看病してくれる。
・林さんに頼めばやってくれる。
・主人が子供の世話をしてくれる。
・頑固な父もきっと許してくれるだろう。
・泣けども叫べども助けてくれる者は現れなかった。
・わたしの言うことをなんでもすぐにしてくれるロボットが欲しい。
・あなたなら分かってくれると思います。
・おいしいといって食べてくれるのが一番嬉しい。
・あんなにけちな人がごちそうしてくれるなんて滅多にないことだ。
・彼が来てくれるなら、安心です。
・この鳥の歌声はどんな音楽より心を慰めてくれる。
・母がイタリアを旅行したとき案内してくれたガイドさんは、日本語が上手だった。
・せっかく迎えに来てくれたのに、すれ違いになってしまってごめんなさい。
0 件のコメント:
コメントを投稿