2011年1月7日金曜日

授受動詞

問題 
花子さんは私の妹においしいおやつを 。
(A)あげた (B)もらった (C)くれた (D)やった 
 解説と解答   答え(C)
【その1】
「あげる。もらう。くれる」を授受動詞といい学習者にとって理解しにくい動詞です。そのなかで「くれる」が最も分かりにくいと言われています。
 まず大事なことは「くれる」は「わたし+に」か「私の弟+に」など「わたしグループ+に」にしか使わないことを説明します。わたしグループとはわたしの領域に属する人、家族、会社の人などです。従って「叔父さんは自分(叔父さん)の子供に小遣いをくれた」は変ですし「叔父さんは私に小遣いをやった」も変です。使い分けの規則に反すると変な日本語になります。
例文
①20歳の誕生日に、父はわたしにスーツをくれました。
②この写真は、帰国するとき、友だちがくれたものです。
③卒業のとき、山田先生は息子に本をくださいました。
④会長がくださった万年筆を今でも大切に持っております。
 ②の文は「私に」が省略されています。③は私グループの「息子に」を使っています。④の文は「私に」が省略されています。「くださる」は行為者が目上の場合に使います。
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【その2】
「わたし」や「わたしグループ」に他人がした行為を「うれしい」や、「ありがたい」と感じたときに使います。「ありがたくない」と感じたときは受け身形で表します。
・張さんが窓を閉めました。(話す人の感情を含まず、事実だけを言っている文)
・張さんが窓を閉めてくれました。(ありがたいと感じたときの文)
・あそこの店は新鮮な魚を食わせてくれる。
・音楽は私たちを楽しませてくれる。
・張さんに窓を閉められた。(ありがたくないと感じたとき)
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【その3】 
「くれる」を使わないと、他人の行為の方向が分からなくなります。
①「鈴木さんが自転車を修理した」(誰の自転車なのか分からない)
②「鈴木さんが自転車を修理してくれた」(私の自転車であることが分かる)
③「張さんが写真を見せました」(だれに見せたか分らない)
④「張さんが写真を見せてくれました」(私に見せたことがわかる)
⑤「自転車がパンクして困っていたら、知らない人が手伝ってくれた」②と同じ。
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【その4】
 話し手のための行為なのに「くれる」を使わないと、おかしな文になります。
 学習者はよく下記のような間違いをします。
・「誰もそのことを私に教えなかった」×
・「誰もそのことを私に教えてくれなっかた」○
・「おいしいミカンを送り、ありがとう」×
・「おいしいミカンを送ってくれて、ありがとう」○
【その5】
依頼する言い方。友人、同等または目下への軽い要求、依頼の表現として使います。
①この本、そこの棚に入れてくれる。
②ちょっとこの荷物運んでくれる。
③すみませんけど、ちょっと静かにしてくれないか。
④灰皿、とってくれる?/とってくれない?
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【その6】
他人の行為が話し手から見て迷惑や不満を感じたときに使います。
・「大事な書類を忘れるなんて、まったく困ったことをしてくれる」
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 下記の例文にある「くれる」の意味はもう理解できると思います。
・あの人はお金持ちだから、きっと寄付してくれるよ。
寄付してくれたら(ありがたいと思う)+(私たちグループ)に寄付してくれる事が わかる。
例文
・A:あら、その案内書、どこでもらったのですか。
 B:受付に行けば、くれますよ。
・あの人は会うたびにおもしろい話を聞かせてくれる。
・休暇で家に帰ると、祖母は「よく帰ってきたね。」と言って迎えてくれる。
・花子vさんは親切で、わたしが困っているといつも助けてくれます。
・張さんは会議の時間が変わったことを、知らせてくれなかった。
・中川さんはわたしの壊れたパソコンを直してくれました。
・今日わたしは学校を休んだ。午後、リーさんがお見舞いに来てくれた。
・先生はわたしの話をよく聞いてくださいました。
・いつもは頼りない5歳の子どもが、病気のわたしを一生懸命看病してくれる。
・林さんに頼めばやってくれる。
・主人が子供の世話をしてくれる。
・頑固な父もきっと許してくれるだろう。
・泣けども叫べども助けてくれる者は現れなかった。
・わたしの言うことをなんでもすぐにしてくれるロボットが欲しい。
・あなたなら分かってくれると思います。
・おいしいといって食べてくれるのが一番嬉しい。
・あんなにけちな人がごちそうしてくれるなんて滅多にないことだ。
・彼が来てくれるなら、安心です。
・この鳥の歌声はどんな音楽より心を慰めてくれる。
・母がイタリアを旅行したとき案内してくれたガイドさんは、日本語が上手だった。
・せっかく迎えに来てくれたのに、すれ違いになってしまってごめんなさい。

2011年1月4日火曜日

「気になる」と「気にする」の違いを教えてください。

①彼(彼女)が気になる。/ ニキビが気になる。 
②彼(彼女)を気にする。/ ニキビを気にする。
質問「気になる」と「気にする」の違いを教えてください。
解説「気になる」
 ①の場合は話し手の関心が彼(彼女)やニキビに向いているいるという意味です。
例文
・なぜか山本さんのことが気になって仕方がない。
・昨日の試験の結果が気になる。
・気になることがあればいつでも質問してください。
・このアパートは広くて、きれいだ。ただ駅から遠いのが気になる。
・私にしてみれば何でもないことでも、ほかの人には気になることもある。
解説「気にする」
 「気になる」は自動詞で「気にする」は他動詞です。したがって「気にするな」とは言いますが「きになるな」とは言いません。主な自動詞はコントロールができないのです。
 話し手の関心が話し手の心に向いているとき使います。心配、気がかりの意味にもなります。
例文
・勝ち負けを気にする。
・自分の失敗を気にする。
・そんなこと気にしないで。
・人の顔色を気にするな。

2011年1月3日月曜日

「あいだ」と「あいだに」の違い

質問 「~あいだ」と「~あいだに」の違い。
①両親が旅行をしている(Aあいだ Bあいだに)ぼくが毎日食事を作りました。
②子供が学校に行っている(Aあいだに Bあいだ)部屋を掃除しました。
 解答 答え ① A ② A

☆「あいだ」は最初(始点)から最後(終点)までという意味になります。
  したがって「~間」の後ろには、継続する動詞や状態を表す言葉が来ます。
☆「~あいだに」は、「その時間幅が終わる前に」という意味を表します。
例文(~あいだ)
・ わたしは冬の間、ずっと沖縄にいました。
・兄がゲームをしている間、弟はそばで見ています。
・夏のあいだお店は休みだった。
・夜のあいだずっと風の音が聞こえて眠れなかった。
・長い間の研究がようやく認められた。
・日本にいるあいだ 、ずっと横浜に住んでいました。
例文(~あいだに)
・赤ちゃんはたった1ヶ月見ないあいだにずいぶん大きくなった。
・知らないあいだに、こんな時間になっていた。
・私がいない間にだれか来たのでしょうか。ドアが少し開いています。
・休みのあいだに、一冊本を読みあげた。
・暇な間に部屋をかたづけてしまおう。
・日本にいるあいだに、有名なところを見物する。
最後の例文は「日本にいるうちに」とも言えます。
「うちに」はその時間までにしないと、あとではむずかしかったり、
できなかったりするという心配があるときに使います。
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時を表す副詞(今より前の日)という意味。
⑤「このあいだは失礼しました。」
⑥このあいだはたいへんお世話になりました。
⑦このあいだお願いした仕事はいかがでしょうか。

2010年12月3日金曜日

慣用句の学習

12月5日(日曜日)日本語能力検定試験を受けられる学習者の皆さま頑張ってください。
文法が難しと嘆いている方はまず慣用句(イデオム)を学習しましょう。
日本語には沢山の慣用句があり、日常会話でもよく使われています。


1彼女の部屋は、部屋(Aというより Bといっても)ゴミ箱だ。
2彼女の家に庭がある(Aというより Bといっても)小さい。

さて1と2の正解はAでしょうかBでしょうか。

解説
1、彼女は女優といっても有名ではありません。
2、彼女は美人というよりかわいい人です。 

「というより」は
彼女は美人だという他者の評価や考えを否定して自分の評価や考えを言う場合に使います。
したがって「というより」を「ではなく」に入れ替えると分かりやすいでしょう。
 ・彼女の部屋は、部屋ではなくゴミ箱だ。となります。

「といっても」は
女優という事実は否定せずに過小評価する場合に使います。
彼女は社長といっても従業員3人の小さい会社の社長です。などです。

英語の話者に「というより」を「rather than」と教えるのは大きな間違いです。
今後もこうした解説を出来るだけたくさん書きたいと思います。


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